過労気味のドライバー
企業の成績が回復し、輸送量自体が増えているにもかかわらず、運転手が減少したままで、なかなか回復しないというのは、何かしらの原因があると考えて良いでしょう。
それでは、トラック運転手が不足している原因について考えてみましょう。

トラック運転手不足の背景には物流業界全体の問題が

トラック運送業界は1990年の規制緩和によって新規参入が進み、事業者が急増しました。過当競争のあおりで運転手の平均年収は減り、求職者は「同じ肉体労働なら」と条件の良い建設業へと流れてしまいました。この10年の全国の運転手数は80万人前後で横ばい状態にあり、慢性的にトラック運転手が不足しているという事態に陥っています。さらには運転手の高齢化も顕著になっており、現在40歳代以上が約8割という状態です。

その一方でインターネット通販は業務拡大を続けており、「少量でもすぐに届ける」といった小口輸送は特に増え続けています。運転手が少ない中、配送量はどんどん増え、人手不足はさらに深刻になっています。トラック運転手は長時間拘束されるにも関わらず、賃金がそれに見合っておらず、労働自体が過酷であるということが挙げられます。

過酷な労働条件

他の業種と比べるとトラック運転手は、荷物の内容や輸送先次第で労働時間がバラバラで、長時間労働になりやすいのです。
このような労働時間であるにもかかわらず、トラック運転手の賃金は全産業の平均より50万~60万円も低い状況が続いています。これがトラック運転手が不足している理由の1つだといえます。

また、労働条件が過酷であるというのも1つの要因となっています。
トラックの運転手は、ただトラックを運転すれば良いというものではありません。
荷物の積み下ろしは、現在も手作業で行われることが多いです。時には重くて大きな荷物の積み下ろしもあれば、身体への負担もかかります。
中には荷物の積み下ろしを行う担当配置されている業者もありますが、そうでは無いところが大半です。

そのため、荷物の積み下ろしに長い時間がかかり、結果的に時間がおして、休む間を惜しんで運転し続けた結果、常に疲労困憊や睡眠不足の状態が続くということも少なくありません。そこから居眠り運転による事故といった、さらなる悪循環へと陥りやすくもなります。

車離れも運転手不足に影響している

21世紀以降、若年層の所得の低下や、非正規雇用の増加による購買力の低下が増加し、運転免許証は取得しても、維持費のかかる自家用車を持たない「車離れ」が関係しているとも言われています。
昔は、トラックの運転手は若者にとってかっこいいと思われる存在でした。トラック運転手に対する特別感があったのです。
しかし、現在では趣味の多様化により、こういった感覚が少しずつ薄れてきており、トラックの運転手に対する憧れなどもなく、トラック業界で働こうとする若者自体が少なくなっています。

管理の強化による窮屈な労働

さらに、管理が強化されていることによって、昔とは異なる勤務体系になっています。
昔は、一度トラックで荷物を運び始めると、朝から夜まで会社には一切連絡しない、ということが一般的でした。
そのため、荷物を運んでいる間は比較的自由時間も多かったのです。
しかし、携帯電話やスマートフォンの普及により、連絡が取りやすくなったことから、現在では出先での行動は細かく管理されていますし、一挙手一投足が見張られていると感じる人もいるようです。

ドライバーが守られていない

大型トラックドライバー
場合によっては、万が一交通事故を起こした際の損害賠償や駐車違反での罰金が、運転手持ちになることが多いようです。
交通事故はそう頻繁にあるものではありませんが、駐車違反が自分持ちというのはとても大変なことです。
また、運転をしている途中で睡魔に襲われることもあり、やむを得ず仮眠をとることもあるでしょう。
そのような場合に、駐車違反をとられてしまっては八方塞がりです。

仕事をしているだけでも違反になる?!

また荷物の積み下ろしを行う場合に、駐車違反を取られるとなると、荷物を下ろすことすらも困難になってしまいます。
駐車違反をしないために、目的地から離れた場所にトラックを停めると、自分で荷物を運ばなければならない距離が長くなります。

会社の指示で仕事をしているにもかかわらず取り締まりの対象になった場合には、反則金は運転手が持たなければならない、というのは決して珍しいことではありません。
駐車違反で違反点数が溜まってしまい免許停止処分になれば、仕事をすることができず生活に大きくダメージを与えることになります。

もちろん全ての業者が、運転手に責任を全て背負わせるわけではありません。
一部のブラック企業と呼ばれているような企業では、このようなことが当然のように行われているようです。
運送業界であってもしっかりと労働に見合った高い給料を受け取っている人たちは大勢います

現状では運送会社の闇となっている部分は多く、メディアで取り上げられる機会が増えたことにより、さらなるイメージダウンを呼び、トラック運転手不足へとつながっていると考えられています。
労働に見合った給料を払ってくれる企業、保証してくれる企業を選び働くことができれば、トラック運転手という職業は資格を存分に生かし、路頭に迷うことなく生きていく上でも良い仕事であるといえます。